「商業登記」は、会社の情報を法務局の商業登記簿に記載する手続きのことです。この手続きをしなければ、会社として認められません。この登記によって、法律により法人格という人格を与えられ、権利能力を持つことができます。法人格とは、一定の活動を営む組織が、法律上に与えられた権利能力のことです。本来、組織に権利能力はありませんが、法律によって法人格を得るとこれが認められるようになります。株式会社や合同会社、社団法人、財団法人、NPO法人などの登記を指します。
これらの会社や法人の本店の所在地や資本金の額、会社・法人の目的、代表者名などの情報は、法務局の登記簿で誰でも確認することができます。
会社設立に際して、決定しなければならない事項は、以下の通りです。
1.商号(会社の名前) 「株式会社」という文字を必ず使用し、漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字などの文字を使用してください。 2.本店(会社の住所) 会社の本店所在地を決めます。 3.目的(会社の営業種目) 会社の営業種目を決めます。将来の営業を考えている事業も入れられます。ただし、官公庁の許認可を要する事業のときには、関係官庁に確認してください。 4.資本金 資本金は1円以上であれば設立可能です。ただし、会社の信用度や運転資金、税金面などを考えて決定しましょう。 5.設立時の発行株式総数と1株の発行価額 設立時の発行株式総数と1株の発行価額を決めます。発行価額の2分の1以上の額×発行株式総数が資本金となります。 6.役員及びその任期 株式会社には、取締役を1名以上置かねばなりません。その他、監査役や会計参与を置くこともできます。取締役が2年内、監査役が4年内に終了する事業年度で最終の定時株主総会の終結の時までが任期ですが、非公開会社の場合は10年内まで伸すことができます。 7.事業年度(営業年度) 事業年度は1年以内であれば自由に決められます。一般的には、年1期の事業年度です。
法人化のメリットは、「経営基盤が安定」「知名度・信頼度の向上」です。法人は、代表者が変わっても組織はそのまま存続しますので、事業の継続性が確保できます。
また、「会社と個人の資産の明確化」「税制面での優遇」もメリットです。法人であれば、法人から給与を受け取りますから、給与所得控除が利用でき、経費や税率の面で個人事業主よりも有利になる場合があります。
デメリットとしては、会社を設立するために「定款の作成」「公証人の認証」「登記申請手続」など費用や手間がかかります。また、利益の発生の有無にもかかわらず、法人住民税が課せられます。また、会社の維持・運営をするために、会計記帳や官公庁への届出などの手間が増えます。 これらのことを勘案して、個人事業か会社(法人)かを決めてください。
会社の登記事項に変更がおこった場合は、2週間以内に変更登記の申請が必要です。定款の変更が必要なときには株主総会を開催し、定款変更決議をします。
〇本店の移転 本店の所在地が変更になる場合、実際に移転した日または取締役会で承認をした日のどちらか遅い日が、本店移転日となります。この登記を怠ると、過料に処せられますので注意が必要です。 〇取締役の追加 株主総会を開催して選任決議をします。「株主総会議事録」と新たな取締役の「就任承諾書」を添付して登記申請をします。また取締役会非設置会社の場合は、新たな取締役の印鑑証明書が必要になります。 〇営業目的の追加 会社の目的は、適法性、営利性が必要ですから、公序良俗に反するような事業や各種法令に反する事業を目的とすることはできません。また、官公庁の許認可を要する事業の場合は、関係官庁に確認してから決定しましょう。 〇資本金の増額 資本金を増やす方法の一つは「募集株式」です。割当先の決まっている「第三者割当」と「株主割当」があり、払込期日までに引き受けた額を払込みます。この払込は、現物出資もできます。資本金を増やす他の方法には会社の剰余金の資本金組入れや、準備金の資本組入れなどがあります。
「合同会社」は「会社法」の施行後に新しくできた形態の会社です。「株主総会」や「取締役」などの機関の設置が義務付けられておらず、社員(出資者)が、会社としての意思決定や運営を行います。
株式会社の場合、設立の際に納付が求められる登録免許税の額が、最低でも15万円であるのに対し、合同会社の場合は最低でも6万円になります。また、株式会社設立の際に必要とされる定款の認証が不要であり、その費用(約5万円)も不要となります。
「会社法」が施行されたため、新たに有限会社をつくることはできませんが、既にある有限会社は、特例有限会社としてそのまま会社を続けることができます。特例有限会社となるための定款を変更や、法務局に登記申請の必要もありません。
「一般社団法人」は、平成20年に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により規定されましたが、設立時に資本金名目の金品を用意する必要もなく、設立に官庁の許認可を受ける必要もありません。事業を営むことも自由であり、社員は2名以上、役員も1名以上の理事でOKです。ただし、理事会を設置する場合は3名以上の理事と監事1名以上が必要となります。非営利が徹底されている事業については、税制上のメリットを受けられる場合もあり、将来、公益社団法人にすることも可能です。
「一般社団法人」を設立するには定款を作成しなければなりません。目的、名称、主たる事務所の所在地、設立時の社員の氏名または名称及び住所・社員の資格の得喪に関する規定、公告方法、事業年度など定めておかなければなりません。公証役場で定款の認証を受け、主たる事務所の所在地を管轄する法務局に設立の登記申請を行います。
息子さんやご親族、従業員、外部からの人材などへの承継、M&Aなどがありますが、それぞれに相当な時間がかかります。そのため、後継者選びには時間をかける必要があります。できれば10年以上のロングレンジでお考えください。 お子さまの他、娘婿、経営者の兄弟などのなかから適格者がいないかを検討し、総合的に判断します。企業内承継を検討する場合は、社員のなかから会社経営に対する意欲、能力、適性があるかどうかを見極めます。もし、能力不足であっても、候補者のどの部分が不足しているのかをの原因を究明し、時間をかけて後継者教育を施したり、他の役員が能力不足の点を補佐することもできます。 外部招聘の場合は、会社の業務実態を十分に理解してもらうとともに、一定期間役員として経営に参画してもらい、能力と資質を見極めましょう。
後継者が見当たらない場合、事業承継の手段としてM&Aも検討できます。外部に広く買主の候補者を求めるとともに、適切な対価を取得することができます。そのことで、経営から撤退した後の経済的な基盤を得ることができます。 M&Aの手法には、事業譲渡と株式譲渡とがあります。「事業譲渡」とは会社の全部の事業を承継先に売却する方法ですが、売却の対価は会社の取得となり、社長には直接的に対価を得られません。「株式譲渡」は、オーナーが保有している会社の株式を承継先に売却する方法です。中小企業の場合、所有と経営が一致していることがほとんどですから、「株式譲渡」によって、社長が対価を得ることができ、安心した老後を送ることができます。
事業承継の成功は、結局のところ後継者の資質に尽きると思います。経営者の資質には、「優しさ」「厳しさ」「日々の勉強」という3つの要素が重要です。ただ「優しさ」とは甘やかすことではなく、愛情を持って社員に接することができるかどうかということ、「厳しさ」とは叱責することではなく、仕事に対して常に緊張感を持って厳しく対処できるかどうかということ、「日々の勉強」とは、結果に慢心することなく、商品の知識、営業力、税務や会計、法務など、あらゆる分野の勉強を日々身につける努力を怠らずにやれるかということです。 こうしたことを後継者に学んでもらうことが、「後継者教育」になります。 しかし、いくら熱心に教育を行ったからといって、必ずしも後継者に経営者としての能力が備ってくるかどうかは未知数です。もし、後継者に経営者の資質がないときには、事業承継が失敗する確率が高くなります。認定した後継者の資質が不適格にな場合は、たとえ教育の途中であっても、企業内承継やM&Aを検討しましょう。
まず、持ち株の比率を次の後継者に集中させること、そして相続対策をしっかりすることが肝要です。 「持ち株比率の集中」では、株主の意向による会社承継のトラブルを少なくさせるため、次期後継者に3分の2以上の株式を取得させましょう。正確な株主名簿を作成して持ち株比率を把握し、株式の分散を防ぎます。そのためには、定款を変更して株式の譲渡制限を定めましょう。持ち株比率を集中させるために、後継者以外の保有株式を買い取ることをする必要もあります。 「相続対策」では、まず、現在の資産のうち、会社の事業継続のために必要な資産とそれ以外の資産を整理します。事業継続のために必要な資産は、株式や会社が使用している不動産、会社に対する債権などです。そして、全ての資産の評価額を調べ、必要な資産を後継者に相続させるための遺言を作成します。ただ、株式評価額が高額な場合、相続税も多くなりますので、株式の評価額を下げることも検討しましょう。
「遺言」がない場合、残された遺産は、「遺産分割協議」を相続人が行って遺産を分けます。もし「遺産分割協議」が整わなければ、調停や裁判になることもあり、事業承継がうまく進まないこともあります。そのため、「遺言」の作成はとても重要です。 「遺言」の内容を、会社が使用している財産、株式などが後継者に相続できるようにしてください。ただし、他の遺族に対しての遺留分も配慮しましょう。遺留分は兄弟姉妹以外の相続人が有する権利で、相続財産のうちの一定割合を受け取ように定められています。そのため、一人だけに全ての財産を相続させるという「遺言」を作成しても、他の相続人には遺産を受け取る権利があるため、後継者が相続した財産が分散される可能性があります。遺留分を考慮した内容の「遺言書」を作成して「事業承継」が成功するよう気をつけてください。
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