家事事件とはどのようなものですか?

家事」とは、家庭に関する事項を解決するための手続です。法律的な判断のみでなく、相互の感情的な対立を解消することが求められます。また、個人のプライバシーに配慮するために、裁判所が後見的な見地から関与する必要のため、民事訴訟のように公開の法廷で開かれるものではありません。お互いの見解を話し合いで進め定期、具体的な妥当策を図りながら処理します。

 そのため、家庭内の紛争や、家庭に関する事件については、家庭裁判所が非公開の手続で、どのようにすれば家庭や親族の間で起きたいろいろな問題が円満に解決されるのかということを考えます。家事事件は「調停事件」と「審判事件」の二つに分かれます。また,家庭裁判所では、「履行勧告手続」やこれらに付随する手続も扱っています。

民事の裁判手続とはどこが違うのでしょうか?

民事事件」は、話し合いで解決できない場合に、示談交渉や調停、訴訟などの手続で、解決を図るもので、ルールに従って原告被告双方が主張・立証を行い、裁判官の判断を求めるものです。「家事事件」は離婚、養育費、相続、成年後見など、家庭に関する事件全般のことで、主に家庭裁判所で扱われます。

家事事件」は、同じ裁判手続でも、比較的自分本人だけで行いやすい法的手続のため、和解などで円満に解決することもあります。しかし当初の対応を誤ったり、こじらせてしまうと、親族だけに骨肉の争いとなることもありますので、弁護士や司法書士などの専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

調停とは、どのようなものですか?

調停」とは、裁判官一人と民間から選ばれた調停委員2人以上で構成される調停委員会が、当事者双方から事情や意見を聴き、双方が納得の上で問題を解決できるように助言やあっせんを図る手続です。「調停」は、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図ります。

調停」を行うための手続きは、裁判所の窓口に備え付けてある申立用紙に、記入方法をの説明を参照しながら記入し、申立てを行うことができます。終了までの手続もとても簡単です。手続が簡単な上、低額費用、秘密の保持、早期解決などのメリットがあります。

審判とは、どのようなものですか?

審判」とは、裁判官が当事者から提出された書類や、家庭裁判所調査官の行った調査の結果などの資料に基づき判断を決定する手続です。通常、最初に「調停」として申し立てられた事案が話合いがつかなかった場合、「審判手続」に移り、「審判」によって結論が示されます。

審判」に不服があるときは、2週間以内に不服の申立てをすることで高等裁判所に再審理をしてもらうことができます。ただし、不服の申立てができる事件は法律によって決められていますので、すべての事件について不服の申立てができるわけではありません。

 不服の申立てをしないで2週間が過ぎた場合や、高等裁判所で不服申立てが認められなかった場合に「審判」が確定します。
審判」が確定すると、その内容に応じて執行が行われます。例えば、戸籍の訂正の場合には戸籍の届出、金銭の支払を目的とする場合にはその支払を受けることができます。もし、支払の義務がある人がこれに応じない場合は、地方裁判所で強制執行の手続をとることができます。

供託とは、どのような制度ですか?

供託」とは、供託しようと考えている人が金銭や有価証券、振替国債などを国家機関である供託所に提出してその管理を委ねる制度です。供託所を通じて,債権者等の特「供託」によって達成しようとする目的により「弁済供託」「担保(保証)供託」「執行供託」「没取供託」「保管供託」に大別されます。

弁済供託」は、金銭その他の財産の給付を行うとしても、債権者が受領を拒んだり、債権者の住所不明によりその受領を受けることができない、債権者の死亡により相続人が不明であるなどの理由により、債務の履行ができないとき、供託所に供託することによって債務を免れることができます。
担保(保証)供託」とは、宅地建物取引業、割賦販売業、旅行業等のように、取引の相手方が不特定多数で取引活動も広範である場合、取引の相手方に対して取引上の損害を与えるおそれのある営業について、一定の金銭などの供託を行うことです。営業活動によって損害を被る被害者を保護するために設けられています。
執行供託」とは、裁判所から差押命令を受けた場合、債務者は金銭債権の全額に相当する金銭を供託することができます。例えば、従業員の給与が差し押さえられた場合に用いられます。
没取供託」とは、一定の額の金銭等を供託し、供託物に対する供託者の所有権をはく奪して国家に帰属させることとする供託のことをいいます。例えば、選挙などで候補者が一定の得票数に満たなかった場合や、途中で立候補を辞退した場合での供託金没取がこれにあたります。
保管供託」とは、散逸の防止のために保管・保全を目的としてされる供託です。例えば、銀行や保険会社などの業績が悪化して資産状態が不良となったとき、その財産の散逸を防止するために監督官庁は財産の供託を命じます。

供託所とはどこにあるのですか?
供託所」は、供託事務を取り扱う国の機関で、金銭や有価証券、振替国債などの供託は、法務局や地方法務局、これらの支局で取り扱っています。供託物が金銭、有価証券、振替国債以外の場合は、法務大臣の指定する倉庫営業者が供託所として供託事務を取り扱い、保管されます。
供託の申請は、どのようにすればよいのですか?

供託」をするには、「供託」の種類に従って定められた様式による供託書に必要事項を記載し、供託物を添えて「供託所」に提出します。また、パソコンからインターネットを利用して「供託」の申請もできます。

供託」の申請は、代理人やご家族の方、会社の従業員などによる申請も認められています。また、郵送により申請をすることも認められています。
 これらの「供託」の申請自体に手数料は必要ありません。ただ、郵送や振込制度を利用して供託の申請をする場合には、郵券や供託金を振り込むための振込手数料が必要です。

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